もしもクロちゃんになったら? パート4
ロケにて...
黒川のなかに不安はつもりつつも、ロケはスタートした。
黒川自身ロケについて知ることはないが、このロケ自体は、進行はアナウンサーがして、ある程度のボケとツッコミは小宮ができるので、番組としては、見てられる。
さらに、元々ロケ自体はだいたいカットされる予定で、プロデューサーが撮りたい絵は、クロちゃんの嘘と、隠れてご飯を食べる姿である。
それもあってか、ロケ自体は何事もなく、進んでいた。
黒川自体精力的にロケをこなしていたわけではなかったが、元々のクロちゃんのキャラと二日酔いで飯が食べれないのが、逆にウケるというのにも助けられて、うまく進んだ。
プロデューサー的にも、後々ロケの後半に連れて、クロちゃんが嘘や飯を繰り返すのを期待していたので、前半のこのロケの緩さと、二日酔いで飯が食べれないっていうのは、いいフリになると考えていたので、特にロケ自体止めることなく進んだ❗
しかし、ロケも終盤になるというところで、プロデューサーが...
『カメラさんとめて!!
一回全員15分休憩で!
ちょっとクロちゃんだけ、きて💢』
若干プロデューサーには怒りが混じっていた
少し、現場の空気が悪くなったのを察したのな、小宮は、演者を連れて、足早にその場を去った...
『クロちゃん!? 今日のなに?
全然いい絵撮れてないよ!?
どうしたん? 具合でも悪いの?
わかってる? 二時間スペシャルのメインの部分やで? このままじゃ使えないわ!!』
『すみません...』
『とりあえず、いつもの感じでお願いね!』
『はい...』
黒川自身内心意味がわからなかった。
自分に何が求められて、自分はどのようにすればよいのかわからなかった💦
そしてそもそもなんで、自分がこのようなことをしないといけないのかという気持ちばかりつのり、
黒川自身怒られることから逃げる生活をおくってきていたからか、全く素直に受け入れることもできず、それどころか、完全にやる気をなくした。
元々社会人になる過程でミスっていたのもあり、この男社会人にまだなることができていないといってもいいのだろうか?
我慢というものを知らない男である
空気こそ少し悪くなったが、小宮の気配りや、街中が少し人も増え、賑やかになってきたからか、ロケはまた明るくスタートをきった。
しかし、クロちゃんがいつもする嘘や演出で期待されていた隠れての飯は最後まで出てくることはなかった😵
ロケが終わったあと、プロデューサーは怒りにみちあふれながら、何も口にすることなく、早々と現場を去っていった
回りのADたちが慌てていたこともあり、さすがの黒川でも何かヤバイことになってることは感じていた
しかし、それが自分が原因であるとまでは想像がついていなかった
ロケが終わり、黒川は、マネージャーの高林に呼び出されて、話となった
『今日のはクロちゃんさんなんですか?
あなたに求められてる仕事わかっていましたか? あれじゃプロデューサーさんが怒るのも無理ありませんよ!!
もしかしたら、二時間スペシャルのこのロケお蔵入りなりますよ?』
『お蔵入り??』
『はい! 撮れ高がなさすぎたので...
正直、あのプロデューサーの方の番組が今のクロちゃんさんの柱になってるので、今度しっかりとした形でお話した方がいいと思います...』
『別に今日は普通にこたしたしん!!』
『それがダメなのです💦
クロちゃんさんにはクロちゃんのキャラがあるでしょう?
芸能界ではそれぞれの人にそれぞれの価値があるから生き残れるのです。
クロちゃんさんのこなす行動や、言動に笑ってくれる人がいるから、クロちゃんさんに価値が生まれるのです。
誰だってできることをしていては、生き残れないです💦
芸能界のお仕事とはそういうことです』
黒川は芸能界のお仕事が甘くはないということを肌で感じる1日となった
安田のクロちゃんは実は色々葛藤しながら、自分の価値を見いだし、そこで一生懸命戦ってるのだと感じた
帰り道のタクシーにて
おもむろに黒川は、携帯をひらいた
すると、すごい数のコメントがTwitterには来ていた
そこには、普段誹謗中傷ばかりのはずのコメント欄に、たくさんの応援メッセージや、心配の声があがっていた。
Twitterには、「クロちゃんなんで、つぶやかないの!?」
「さすがに、俺らいいすぎた?」
「クロちゃんつぶやかないとサミシイよ...」
といった、声で溢れていた。
黒川は心からわかったのだ。
クロちゃんと呼ばれるのが嫌だった自分であり、安田のクロちゃんを下に見ていた自分であったが、そんなことを言える資格もないし、自分でないと...
自分は就職活動に失敗して、社会人として失敗をして、そこからは何も踏み出さず、言い訳ばかりで、見栄だけはって、そんな毎日だった。
そんな自分に比べて、安田のクロちゃんは、世間からいくら冷たい目で見られようと、それでも見てくれるファンのために、自分のお仕事を貫いていたのだ!!
仕事は、決して楽なものでない
だからこそ、我慢して、でもその先になにかがあるのだと感じた。
黒川は、いてもたってもいられず、マネージャーの高林に、『高林!! 至急プロデューサーのところにいけるか?』
高林は少しびっくりしたが、すぐに確認した。
『今、特番の打ち合わせしてるみたいなので、そのあとなら、時間作れるみたいです!』
『なら、そのあと今日のこと謝りに行くから、時間取れるようにしてもらってもいい!?』
黒川は、熱がこもり、クロちゃんであることは忘れていた。
黒川にとっては、今はそんなことはどうでもよかった。
とにかく、今日の自分からクロちゃんの姿ではあるが、心の部分で一歩踏み出したかったのだ!
黒川は、すぐにTBSのほうに向かっていった。
打ち合わせが長くなったのか、結局プロデューサーと会えなかった。
後に気づくことになるが、会えなかったのではない。
会わせてもらえなかったのだ💦
この日のロケの次の日安田のクロちゃんは、番組をおろされることが決まった
芸能界はそんなに甘くはなかったのだ
黒川は、事務所に呼ばれて、最近の出来事についてヒアリングを受けた。
しっかりと、反省をのべたのだ。
そこから、拒絶それつつも、黒川はプロデューサーの、もとに通い続けた。
黒川の中で意識は完全に変わっていた!
大きな変化を遂げたと言えるだろう~
1ヶ月間黒川は辛いこともたくさんあったが、通い続けて、仕事も自分なりにこなした。
すると、ようやくプロデューサーから面談の許可が、おりたのだった!!
TBSにて
『久々だね! 聞いてるよ!
最近また頑張ってるみたいだって!』
『頑張ってるしんよーー』
『1ヶ月間無視していて悪かったね
しかし、あの日のロケの君を見て、僕なりに君に対して芸人に対しての覚悟を疑ったからこういう、形をとったんだ
しかし、最近の君の噂をまた聞いて、チャンスを、あげたくなったよ!』
『チャンス?』
『クロちゃんにお願いしたい仕事があるんだ!』
プロデューサーから、企画書が渡された。
黒川は目を通した!
『結婚式パーティーですか?』
『そうだ! 知り合いに結婚を、控える二人がいて、そこの両親とは古い付き合いだから、何かしたあげたいとは思っていて、クロちゃんに出し物をお願いしたいのだ!』
黒川は誰の結婚式かと気になり、名前を見た。
『橋本... 足田。
うん!!? はしもっちゃんと、あっしーやん!!!』
『うん? 知り合いかな?』
黒川は焦り、
『知らないしんよーー
友達と同性同名で笑
引き受けするしんよーー』
黒川は悩みながらも、承諾した
『おう! ありがとう!
偉い人とかもたくさんくるから、またここから花をひらかせてくれ!
期待してるよ笑』
『はい!!』
黒川はプロデューサーとわかれた。
黒川は不安でいっぱいだった。
まさか、自分が安田のクロちゃんになって、二人の結婚式に出るなんて思ってもいなかったからだ。
その夜黒川は久々に酒を飲んだ。
疲れていたからか、すぐ眠りについた。
すると、ある夢をみた。
それは、なぜか、橋本と足田と新美とか中学のメンバーがいる飲み会の話だった。
妙にリアルな夢だった。
黒川はまだこの時知らなかった。
結婚式がいかに大変になるのか、またそこで色々明かされることがあるということを...
パート4終わりだしんよーーーー
皆さんどうしてたか?
そろそろ終演えと向かっています!
次か、その次がラストパートになると思います!
最近自分自身色々悩みごともありますが、今日吹っ切れました!
明日からまた切り替えて、自分らしくやっていきます!
『もしもクロちゃんになったら?』
楽しみにしててください!!!